はじめに:市場であまり見かけないSPDXを手に入れた
ナンガのシュラフといえばDXシリーズが定番。レビュー記事も豊富で比較対象として選ばれることが多いですが、実はその上位モデルであるSPDXシリーズに関する情報は非常に少ないんです。
そんな中、たまたまメルカリで状態の良い350SPDXを35,000円という掘り出し価格で入手して早2ン年。これも何かの縁ということで、手持ちの他シュラフと比較しながらレビューしていきます。
スペック比較:350SPDX vs DX系
以下は、公式スペックや実測値をもとに作成した比較表です。
| モデル | 中綿 | 温度域 | 重量 | 収納サイズ | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| 350SPDX | グースダウン 860FP 350g | 快適:― / 下限:−6℃ | 約730g | φ13 × 25cm | ¥66,000~ |
| 350DX | ダックダウン 760FP 350g | 快適:5℃ / 下限:0℃ | 約730g | φ13 × 25cm | ¥41,800~¥43,450 |
| 450DX | ダックダウン 760FP 450g | 快適:0℃ / 下限:−5℃ | 約865g | φ14 × 30cm | ¥50,600 |
※350SPDXの快適温度はメーカー非公開のため「―」と表記。
実機レビュー:パンパンに張ったドラフトチューブと安心のロフト
実際に手にとってまず印象的だったのは、首回り・ファスナー沿いのドラフトチューブがパンパンに張っていること。

手元にあるマミー型シュラフはタケモの7しかないのですが(キルトは3本ある)、350SPDXのチューブはしっかりと立体感があり、ふくらみも均一。
ダウンが片寄る感じもなく、ロフトがしっかり出ており、潰れた印象もないのはさすがグースダウンといったところ。


実際に入ってみても、首元の密閉感がしっかりしていて、外気の侵入をかなりシャットアウトしてくれる安心感がありました。
タケモの7と並べてみる。
タケモの方が長い事実を知る(/ω\)

タケモ7は冬季用なので足元はしっかりダウン入ってる

撥水ダウン vs グースダウン:濡れへの耐性をどう見るか
近年、各社が採用する「撥水加工ダウン」。水に濡れても保温性が落ちにくくなるこの技術は、確かに有効ですが、主にダックダウンに対して施されていることが多い印象です。
一方、グースダウンは元々ガチョウ由来の天然油分によって撥水性を備えており、洗浄で落とさない限りその効果は半永久的に持続するとも言われています。
つまり、350SPDXは
- 防水透湿素材「オーロラテックス」に包まれ、
- 内側は自然撥水性を持つグースダウンが中綿
という組み合わせで、濡れへの耐性としてかなり優れた構造をしています。
そして、濡れ対策の完成形──LEVEL8との違い
この「濡れに強い」設計思想を突き詰めたモデルが、ナンガの最上位シリーズ「LEVEL8」。
LEVEL8は:
- 外側:オーロラライト(超軽量防水)
- 中綿:撥水加工されたUDD DX(760FP ダック)
という組み合わせで、「人工的な撥水処理」と「防水生地」の両輪によって、濡れを完全にシャットアウトする思想です。
SPDXが「素材の力で自然に濡れにくい」タイプだとすれば、 LEVEL8は「完全武装で濡れを拒む」プロ仕様と言えるでしょう。
とはいえ、SPDXはよりナチュラルで軽量かつ高品質な濡れ対策モデルとして、十分に日常のキャンプ〜山行で信頼できる一本です。
まとめ:希少だけど実力は本物
350SPDXは、情報が少なくレビューも見かけないために比較的マイナーな存在かもしれません。
ですが、実際に触れて、使ってみたことで分かるのは、
- グースダウン860FPのしっかりとしたロフト
- ドラフトチューブのボリューム感
- 防水素材と中綿の組み合わせによる安心感
このあたりがしっかり噛み合った完成度の高いシュラフだということです。
もし中古やアウトレット、型落ちなどで見かけたら、迷わず「買い」だと思います。

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